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ゆめはいまも巡りて

長さ12cm、幅7cm程度ののっぺりとした無愛想なボディに、小さな穴が4つ。



その穴はまるで、上下に並ぶ二つの豚の鼻のようにも見えて、


もしも、自分が思春期の少女なら、

これを見ながらニコリと微笑むのだろうか、

「箸が転んでも笑う年頃」という言葉があるけれども、僕は、

長さ12cm、

幅7cm程度ののっぺりとした無愛想なボディに、

小さな穴が4つ開いた「コンセントカバー」を眺めながら

"笑えない"コンセントの向こう側に広がる空間を空想していた。






nukes01.jpg





2011年3月12日、昼過ぎ。東京は杉並区明大前にあるマンションの一室。

昨日の揺れが未だ染みついたままの身体を屈ませてコンセントと向かい合い、

その先にある「福島」のことを僕は静かに考えていた。





普段、まったく気にせずに使っていた「電気」がまさか福島から送られていたとは、

無知は恥であり、もはや罪か。

このコンセントの、豚の鼻のような小さな穴が、まさか福島に続いているとは。






その「福島」の原子力発電所が津波の影響で制御不能になり、

施設内の幾つかの原子炉が暴走状態に陥った。そしてそれは日本人にとって初めての出来事だった。

絶対に、「安全」と謳われていた現代の「神話」が崩壊。数日も経たないうちに

福島第一原発近隣住民は移住を余儀なくされ家や土地や家畜や記憶の一部を一瞬で喪失した。その頃、

「ただちに影響はない」という言葉が睡眠不足の政治家によりてれびの中では連呼されて、

得体の知れない恐怖心や懐疑心が騒いだ。このテレビが観れるのもラジオが聴けるのもネットを見れるのも、隣りで震える恋人の顔を照らす照明も乾ききった喉を潤す為に冷やされたコーラが入っている冷蔵庫も、さっきコンビニで買ってきた売れ残りの惣菜パンを温めた電子レンジも全ての電源は「福島」にあり、その福島は現在史上稀に見る悪夢の中にあって、
顔も声も知らない自衛隊やレスキューや米兵やその他大勢の関係者が未体験領域の中で「最悪」を避けるべく決死の作業をしていることを思うと、吐き気がした。挙句、故郷を喪失せざるを得ない人々が多く存在することを思い、泣いた。



nukes02.jpg




「ゲンパツ」の話をすると、君は眉をしかめるかもしれない。

「ゲンパツ」の話をすると、君は何かに怯えた表情で

「仕方ないんだよ、仕方ない」と、まるで自分に言い聞かすように答えるかもしれない。

「ゲンパツ」の話をすると、君は疲れ切った表情で

「それでも、うまく付き合っていくしかないんだよ」と、嘆くかもしれない。






僕は「ゲンパツ」の話をしたいわけじゃない、

「ふるさと」の話をしてるんだ。





つまり君の両親や、


兄弟や、恋人や、子供や、家族の


いつかの帰り道、公園のベンチ、赤とんぼの舞う田の景色、畑の匂い、桜の花が舞う校庭、

自転車に乗る練習をした空き地、部活帰りに寄った駄菓子屋、

夢を語り合った川沿いの砂利道、バイト帰りの道を照らした自動販売機、

蜃気楼漂う真夏の国道3号線、夕暮れの風、夜の浜辺、

紅く染まる山々、雨上がりのアスファルト、

虹の掛かる丘、雪の中で手を繋ぎ寄り添う人々、それら君に宿る全ての、

全ての記憶と明日の話をしているんだ。

ふるさとを失うかもしれないという「リスク」ほど大きなものはない、




僕は、君の懸念する全てのそのことよりも、


「ふるさと」の「存在」だけが大切なのだと君に伝えたい。






nukes03.jpg






以上、散文的長文、読んで頂きありがとうございました。





ふるさとを失った何人かのトモダチと、

ふるさとを失うかもしれない明日を持つ全てのトモダチの為に。









text by Y,monmon


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2012.02.02 | | コメント(0) | トラックバック(0) | 未分類

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